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歯車の損傷と強度設計

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歯車装置は適正な設計、製作、材料、組立、潤滑などを行えば長期間故障せず安全に使用できます。しかしいずれか適正を欠くものがあれば歯車にさまざまな損傷が発生し重大な故障をもたらすことになります。

今回は、歯車の損傷、種類や原因について説明いたします。

歯車の強度設計

一般の機械の設計と同じく、歯車の強度設計もその損傷防止を目的に実施されるものであり、各種設計の中でも特に強度設計は重要な位置を占めています。

歯車に対する強度設計は主に

【歯の曲げ強度】 【歯面の面圧強度】 【歯面焼き付きのスコーリング強度】

について実施されます。

歯車の損傷の種類

歯車の損傷には多くの種類がありますが、大別すると【歯の折損】と【歯面の損傷】に分けることができます。

歯の折損

歯の折損にはさまざまな原因がありますがよく確認できる事例としては疲労折損と過負荷折損があります。

歯の折損:疲労折損

疲労折損とは材料の疲労限度以上の曲げ応力が歯元部に生じるような荷重が繰り返し加わり、歯元すみ肉部から始まったき裂が伝播して引き起こされる歯の折損です。

歯の折損:過負荷折損

過負荷折損とは非常に大きな過負荷が歯に作用し、1回あるいは数回のわずかな負荷繰り返し数によって起こる歯の折損です。

歯面の損傷

歯面の損傷にもさまざまなものがありますが、多く見られるのは疲労による【スポーリングとピッチング】、異物による【アブレッシブ摩耗】、熱による【熱的損傷】があります。

スポーリング

スポーリングは高荷重のために歯面の表面下で材料の疲労が起こり、かなり大きな金属片が歯面から脱落する損傷です。

ピッチング

ピッチングは、歯車材料の疲労強度以上の接触応力が歯面に繰り返し加わった時、歯の表面に微細なき裂が発生・進展して、そこから小片が離脱し、歯面にピット(小穴)を生ずる損傷です。歯元面、特にピッチ線付近に現れることが多いです

アブレシブ摩耗

アブレシブ摩耗は塵埃、砂、油中の不純物、歯面や軸受けからの摩耗粉など微細な粒子により歯面のすべり方向に筋がつけられる損傷です。潤滑油に異物が混入された場合は摩耗が発生しやすいため、潤滑油の管理も必要です。

熱的損傷:スコーリング

熱的損傷の代表的なものがスコーリングと呼ばれる損傷です。歯と歯の摩擦により熱が蓄積され、限界値を超えた時、潤滑膜が破断されスコーリングが発生するとされています。

このような折損や損傷を防ぐために、設計段階から強度計算を通じて使用条件に適した歯車を製作しなければなりません。歯車の強度計算は主に3項目に対し行われ強度の内、最小値を示すものによって歯車の強度が決まります。
一般的な諸元であればフリーソフトでも計算が可能ですが、特殊諸元や特殊条件の場合高度な計算が可能なソフトが必要です。

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